ウマが合う

　「この人と親しくなれたらいいな」 　

　人は、第一印象の時点で、目前の対象者を「振り分け」できる能力が備わっているという。この人とは親しくなりたい、この人には近寄りたくないなど、瞬時の判断能力により、対象人を各々のカテゴリーの枠内に分けてしまえるのだ。 　

　よくウマが合う、合わないという分け方で、他者との相性に勝手論を投じるのが人である。年を重ねるにつれ、そんな勝手論こそ重要なのだと思えるようになってきた。 

　「あの人と親しくなれたらいいな」 　

　そう静かに想い続けていたら、ある日突然ひらめきが射し込んできてくれたことがある。 　

　天からのメッセージは、「イエス」。そこには但し書きがあり、「どうしてもそれを望むなら」と続けられていた。 　

　私は、「どうしても」の行動を踏んだ。そして、今の着地点がある。 　

　この人と繋がってくれればいいな。 　

　もっと近づくことはできないかな。 　

　そこまでは誰しも容易にたどり着くことができる。その想いの上に「どうしても」を重ね合わせることができれば、己の持つ発信の力の中に本人でも気付くことができないメカニズムの存在を体感することができるはずだ。 　

　知ってた？わたしは、今ようやくわかったみたいなんだ。 

　「ウマが合う」って何なのだろう。 　

　その答えを探るには、それが「何なのだろう」と脳内を巡らせて考える対象のものではないという気付きに到達する必要が先にある。 なぜなら、ウマが合うことの授かりは、己の歩みの足跡が残した結晶の一つの姿であり、またそれは同時に、鏡に写した己の心の姿なのだから。