一番最初に学んだ愚行
「忙しい」「バタバタしてる」
そのようなワードの主張で身の回りを覆い被せて、まるでバリアーを張るが如く立ち居振る舞う輩を仕事現場で見かけることがある。前職でも、ごく身近な存在の先輩、同僚にそのような者がおり、若造であった自分はその感覚に嫌悪感を抱えるようになっていた。
私に面倒事を持ちかけないで!
楽に仕事したいんだ!
バリアーを張ることで、そんな思惑を手に取るように感じさせてしまう者は社会人として只々未成熟者である。私は幸か不幸か新入社員の頃からそのような悟りと向き合わなければならな仕事環境の中に身を投じられていた。
そこで、ペーペーの私は何を学習したのか。それは、口が裂けても「忙しい」という発言をしないということと、どんなに激務であったとしてもイライラな感情を周囲に気付かされることがないようにすることを己に下命した。ストレートな反面教師の産物である。
仕事というものは天から降ってくるものではない。人と仕事の間には、対象とされる組織があり、そこには大なり小なりの数の人間が関わり、実務が派生されてくる。そして、人と人の間には、それが仕事であろうと他のどんな種類の縁であろうとも、実務という器には厄介事、面倒事の1つや2つがトッピングされていたとしても、いちいち悲観するべきことではない。仕事は、きれいな器だけに盛られているものだけではないという、そのような度量を常に備えていたい。たとえ、強がりだと言われたとしても。
「忙しい」
「バタバタなんです」
考えてみてほしい。社会人なのである。「忙しい」は特別な状況なのだろうか。もちろん感方には個人差はあるだろうが、むしろ当然なのだと捉えなければならないことではないだろうか。だから、そのようなことを口走ることは恥ずべきことなのだと、私は社会人一年生の頃より己に言い聞かせてある。
もし、日常の中でこの2つのワードを私に向かって発する者がいたとしたなら、以下のように解釈するようにしている。
ああ、この人は私と距離をもうけたいのだな。
忙しい、バタバタ。
私がもっとも苦手なワードだ。
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